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2009-02-15

梨野(りの)氏と大浜(おばま)氏との電話の遣り取り




 「時事斜断」
                                        坂本 邦雄



 最近メキシコのConsulta Mitofsky (CM)社が行った世論調査の結果に依れば、吾がルーゴ大統領は汎米諸国元首の中で、コロンビア、ブラジル、エクアドルの各大統領の70%、ベネズエラ及びメキシコ両大統領夫々の64%と62%に次いで四番目の人気者(60%)に挙がっている。なお、ボリビアのモラレスとエルサルバドルのサカ両大統領が各々56%を以って此れに続く(EFE通信)。

 然し、此れは一見結構なことで外面(そとづら)は大変宜しい話しであるが、国内の実情は大分違って日毎(ひごと)にエスカレートする強盗や殺人事件、官庁に於ける詐欺や汚職、収賄警察官、 鉄面皮なドロボウや罪人の即時釈放等々を日常見せ付けられている一般市民には遣り切れない気がするのである。此の辺の国民の微妙な感情はアンケート等では決して反映されない。此の鬱憤を晴らすのに、元来陽気でジョークの好きなパラグアイの人達は笑話しやユーモアで気を紛らすのである。
其の一つが此の度アメリカの第44代目大統領に就任した大浜氏(バラク・オバマ)とパラグアイ政界の黒幕で野党UNACEの党首梨野氏(リノ・オビエド)との間で最近あった 次の嘘の様な本当の様な電話の遣り取りである。

  * 大浜:ハロー梨野さん、20日の就任式には来て貰えなかったネ。前任者のジョージが コンドリッサ(前国務長官)に招待状を出す様にしかと申し付けておいたと言ってたが届かなかったのかネ?。
 
 * 梨野:ヤーヤー、どうも大浜さんお電話有難う。折角の御招待は確かに戴いたが丁度、当日は私の郷里フアン・デメナの鎮守の祭で、元騎兵出身の私の趣味であるジャジャ馬馴らしの行事等でどうしても抜けられず、大変失礼したがご勘弁請う。
 其れは其れとして、此の度は大統領ご就任本当におめでとう、心より御成功を祈ります。

 * 大浜:有難う。でも残念でしたネ。何時か早い機会に是非お会いしたいですネ。ウチのアスンシオン大使館の連中は例の「パラグアイ三月事件(marzo paraguayo)」とか云われている嘗ての問題に大分関係した様な話を聞いているのでネ。

 * 梨野:そうなんですょー、大浜さん!!。私は「パラグアイ三月事件」の暴挙を私利の為に貴国大使館の助けで策謀した。然も未だに問責される事もなく天下御免で其処等を大手を振って歩いている恥知らずのナラズ者や悪漢連に関する山程の証拠書類を持っているのですょ!!。

  * 大浜:ヘェー!、梨野さんソリャ重大事だ!。良くお話しを承(うけたまわ)らねばならない…

 * 梨野:其の件については、是非ゆっくり話合う必要がある事はご�同感です。然し、パラグアイはもっと差し当たっての諸問題の解決が急務だと私は愚考します。 
 吾が国の現下の情勢は絶望的です。幾多の国策やプロジェクトは有りますが、 政府が余りにも悠長で何一つ実行に移されていなく国民は失望し苦悩しています。

 * 大浜:フェルナンド大統領は一体何をしているのですか?。まさか公約を守らないでいるのではないでしょうネ?。

  * 梨野:そうなんですょ!。彼は恰(あたか)も山程の問題に悩む教会の疲れた僧正の様に見えます。人物は良くて知者だと云われていますが多くの無能者、オベッカ屋や気狂い等の側近に取巻かれ、インポテンツ化した大統領の如しです。
 
 * 大浜:ヘェー!、本当ですか?。では、処で私に何か貴国の為に出来る事が有りますか?。

  * 梨野:パラグアイを支援して頂く案件は幾らでも有ります。例えばパラグアイの生産物に対するアメリカ市場の開放、国家プロジェクト促進の為の技術及び経済援助等々、私にはバラクさんに是非一肌脱いで頂きたい大プロジェクトが有ります。 それは吾が西部パラグアイの大チャコにラスベガス流のスーパーシティーを建設する大構想です。先ず想定候補地には世界最大級の航空機でも楽に離着陸出来る立派な飛行場が既に存在します。           

 * 大浜:ホントですか!?。もっと話しを聞かせて下さい。

 * 梨野:同飛行場はボーイング787、エヤーバス380や其の他ガラクシー級の各種スーパー大型貨客機の運航に楽々と耐え得る規模のものです。私達はパラグアイのポシティブな面が広く世界に知られる事を望むのであって、此の未来都市が多くの国際最高レベルの実業家、投資家、芸能人、政治家やスポーツマン等々を誘致するのに役立つ事を夢見ています。

 * 大浜:貴方の大構想に付いてもう少し説明して貰えますか?。

 * 梨野:私共は大チャコに“ダイヤモンド都市”、即ち当初は人口100万人のメトロポリス 「ダイヤモンドシティー」の都市計画を策定している訳です。其れには3ケ所の国際エヤーポート、5車線道路、街路の完全照明とインテリジェンス信号機の完備、ショッピングセンターや摩天楼の他にメリオット、シェラトン、ルクソル、MGM等のホテルチェーンの誘致等に、貴国やヨーロッパ、インドシナ、アフリカ、オーストラリアの銀行家、ブローカーや実業家と話しを進めています。

 * 大浜:梨野さん、貴方の話しは驚く可き大プロジェクトですねぇー!。

 * 梨野:未だ話しの続きが有ります。ダイヤモンドシティーには全館空調完備の各種大工場の建設が計画されているのです。此れ等の工場は 最初は自動車、航空機、家電製品、電子機器、サテライトや宇宙船の精密機器等のパーツ類を製作する最先端プラントで、其の他にブラジル、アルゼンチン、チリ等の市場が約束されている食品、飲料、医�薬品等々も生産します。なお、チャコのダイヤモンドシティーはブエノスアイレス、モンテビデオ、サンチアゴ、サンパウロ等の各都市から空路僅か2時間の航程に存在する好立地条件の未来メトロポリスです。

 * 大浜:梨野さんのステキな大構想をお聞きしていると正に興奮ですなぁー!。

 * 梨野:ダイヤモンドシティーの国際空港には、地域の航空定期便以外にUnited Airlines, JapanAirlines, British Airways, Air France等の旅客機が乗入れます。なおダイヤモンドシティーの市民や訪問客の享楽の為に快適な近代的施設を備えた競馬場や壮観なカジノ及びユニークなナイトクラブの歓楽街を設け、老若男女各層の人達夫々の好みに合った娯楽を提供します。なお同じく、ダカールの人達及び当地恒例のトランスチャコ・ラリーの関係者と相談し、吾が大チャコに於いて年3回自動車耐久競争の実施を計画しています。  此のラリーには貴国アメリカ、日本、イギリス、ロシア、EU及びアフリカ諸国のバイクや4輪サイクルを含む各種自動車と大勢のレース・パイロットが来ます。

 * 大浜:そうですか。それは素晴らしい。梨野さん、此処で電話を切ります。ミシェルが晩飯の用意が出来たと云っているのでねぇー。

 * 梨野:アーどうぞ、奥さんとごゆっくり夕食をお楽しみなさい。又の機会にお話しをしましょう。

 此の後はお互いバィバィの挨拶で電話はガチャリと切れた。何うもバカ話しになって仕舞って読者には申訳ありませんが、案外此れもパラグアイ現下の世相を切った揶揄(やゆ)かも知れません。





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tag : 2009年2月15日号

2009-01-15

日系ジャーナル・2009年新年号の主な国内記事タイトル




◆国際的な不況にも関わらず、輸出は60%伸びている

◆Caacupé市を全国で最初の「デジタル化都市」にする計画

◆2009年度には牛肉の輸出額が25%落込む可能性

◆多くの公約を含んだ農地改革プログラムがスタート

◆他

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◆年頭の言葉 2009年 1月 新年特別号 
 日系ジャーナル代表・ミチオ 高倉


◆休憩室ー2009年新年号

◆時事斜断 『ステビアの年』

◆他





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tag : 2009年新年号

2009-01-15

年頭の言葉 2009年 1月 新年特別号




  「迫り来る大激変」

                                     日系ジャーナル 
                                     主筆・ミチオ 高倉



 明けましておめでとうございます。

 輝かしい新年を寿ぎたいところだが、何やら「大恐慌」の足音が聞こえてくる。
錦の御旗たるグローバリズムを掲げ一国覇権主義で傍若無人に振る舞ってきた米国の影響力が失墜してきた。

 大恐慌といえば、過去、ニューディール政策から第―、第二次世界大戦という歴史の繰り返しで、再び、米国が戦争への誘惑にかられる恐れがある。

 昨今のイスラエルの強引なガザでの戦火拡大。さらにアメリカ等がアフガニスタンへの集中砲火、イランへの攻撃等に踏み込めば、中東での「紛争」が大戦争となり、世界経済が大混乱に陥るのは不可避であろう。


サンペドロに革命の拠点? 
 ルーゴ大統領が昨年8月、就任して以来、土地なし農民たちの不法侵入問題が全国的に増えてきたようだ。ルーゴ大統領は元カトリックの司教としてパラグアイの貧困地帯サンペドロで長年、貧農問題に取り組んできた。また同大統領は、カトリックの解放の神学(社会正義、貧困、人権などにおいて時に武力闘争をも辞さない傾向を持ちマルクス主義から階級闘争を煽る)の信奉者としても知られている。
 
 そのルーゴ大統領の就任式にベネズエラのチャベス大統領が訪れ、ともに仲睦まじくサンペドロ県に行き何やら密約を交わしたのではないか、と現地マスコミが問題視してきた。そのサンペドロで昨今、軍隊の武器保管庫が20数名もの武装集団に襲われ武器を奪われるという前代未聞の大事件が発生したことからチャベスの影響力が、その背後にあるのではないか?と推測されている。


チャベスが目指す社会主義とは?
 米国のブッシュ大統領をあからさまに「悪魔」と呼ぶチャベス大統領は、「反グローバル化」運動との連携を強めてきたこともあり、新しい社会主義モデルを模索している。
 
 彼はまず、ラテンアメリカ域内では、米主導の米州自由貿易地域(FTAA)に対抗するための「米州ボリーバル主義代替政策(ALBA)」を提案した。このALBA戦略の枠内で、キューバとの連携による識字運動、石油共同開発を目指した「ペトロスル」の設立。欧米のフィルターによる巨大メディアに対抗する南米版CNNとも言うべきテレビ局「テレスル(Telesur)」の設立などが行なわれている。そして、南米一二ヶ国が参加する「南米諸国連合(旧名=共同体)」も発足。そして、ベネズエラはメルコスールにも正式加盟し、その影響力を強めている。2007年1月8日、チャベス大統領は、ベネズエラの21世紀の社会主義の確立に向けてより具体的な新政策を公表した。この中で注目されるのは、基幹産業の再国営化である。演説でチャベスは、「私達は今、新しい時代、2007年から2021年のシモン・ボリバル国家計画に、入った」この計画が向かうのは、「ボリバル主義的社会主義であり、革命的な特質を要する」とチャベスは述べた。

 さらに目を引くのは「ボリバル主義の大衆教育」の新たな運動として「新しい価値観を深め、個人主義、資本主義、利己主義という古い価値観を打破する」とチャベスは述べている。彼の目指すものが原理主義的社会主義革命だ、とするなら大きな闘争と犠牲が払われるのは避けられない。

 この様にチャベスの目指すボリバル革命を見ると、何となくルーゴ大統領のパラグアイ改革の一端が透けて見える。
 
 因に社会主義という概念を簡単に説明すると工場、農地等の「生産手段」を国が管理し計画経済を行うというのが社会主義で個人財産を認めない社会体制。旧ソ連、中国、北朝鮮などがそれに該当する。


階級闘争には外国人排斥運動も含まれる
 革命にはその相手とする敵が必要だ。そこで階級闘争が煽られる。その同系列に外国人も標的に上がる。
 
 この国のリーダーがチャベス大統領に深く共鳴しているとするなら我々移住者も、日本政府も覚悟を決めてその戦略を練らねばなるまい。2004年新年号の当欄にも警鐘を鳴らしたことだが、まず、日本人コロニアを死守しなければならない。

 それは、チャコ地方に入植したドイツ系メノニータたちが当地の先住民インディオたちに仕事を与えたり、学校や病院を作ったり、といった生活支援をしていく事でうまく共存している、というあの共存体制を周辺貧農グループとの関係で確立することだろう。 

 つまり、周辺パラグアイ人の生活をレベルアップし日系コロニアへの羨望、反感の牙を抜くことに当面、努力しなければならない。

 そのためにはJBICの海外経済協力部門を担い、世界最大規模の援助機関となった新JICAの手腕が問われることになる。左傾化が進む南米でこのパラグアイもルーゴ政権が昨年誕生した。トップリーダーがその進路をあいまいにしているものの当国も左傾化へと進路を切り始めたと思われる。今こそ新JICAは、その資力、ノウハウを日系コロニア防衛のためのプロジェクトに知恵を絞らねばならない。

 勿論、ODAプロジェクトはあくまでこの国の住民を豊かにレベルアップすることが肝要だ。そのためには日本語もスペイン語、グアラニー語も自在にしゃべれる二世たちを如何にこのプロジェクトに活用するかが重要だ。ただ、その場合もあくまでこれらのプロジェクトは地方政府や企画庁、農牧省など中央官庁に十分根回しして彼らサイドからの立案、と言う形にしなければならない。これまでの日系社会はこの手のやりかたが不得手だった。これからはパラグアイ政府との折衝要員、つまり、ロビー活動が出来る有能な二世三世を早急に育成する必要がある。

 遠慮深い日本政府はともすればガチンコ交渉を避け、日本近海の資源や領土問題にさえ腰を引いてきた。

 しかし、過去数十年にわたり当国に莫大な投資をしてきた日本政府及び日系移住者の基盤が脅かされるようなことがあれば、その損失は計り知れない。

                                       平成21年 元旦





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