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2008-10-15

日本文化月間の催し




  「時事斜断」                                         坂本  邦雄

 今回は少々趣きを変えて、私共のパラグアイ日系人社会に触れて一寸書いて見たいと思う。それは、日本大使館がパ日協会及び人造りセンターと共催で行なって来ている、既に恒例の「日本文化月間」の催しである。しかし、此の度は式場の、日本政府の無償援助で建設されたアスンシオン市の“人造りセンター”が出来てから今年で満20周年を迎えた事もあって、特に日本大使館も力が入った行事の様に見受けられた。私共在パ邦人が誇りにする此の“人造りセンター”は“セントロ・パラグアジョ・ハポネス”(CENTRO PARAGUAYO-JAPONES)の名称でパラグアイ人に広く親しまれているが、大使館の案内状にもある様に、“パラグアイと日本の緊密な友好親善  関係を最も雄弁に物語るシンボル”に相応しい、実に格好なモニュメントである。

 そして、先月中開催された‘08版「日本文化月間」の行事では生花、盆栽、茶の湯の他にも日本の伝統的な文化や芸術が種々紹介された以外に、そのプログラムの一貫として前記“人造りセンター”のセミナー室で、第一回「日本-パラグアイ交流展-EXPO’08 JAPON-PARAGUAY」が在パ日本大使館とパラグアイ日本都道府県人会連合会の共催で16日夜(火)のオープニングセレモニーを初め18日(木)迄の3日間と、25日(木)午前は同センター劇場でJICAの青年海外協力隊派遣30周年記念式典の各イベントが盛大に挙行された事は特記す可きである。

 このJICAボランティアの記念行事は、27日(土)マリスカル・ロペス・ショッピング階下で開かれたボランティア隊員活動状況の説明展示会を以って成功裡に終了した(本紙9月30日号参照)。なお、「日本パラグアイ交流展」もこのJICA’s EXPO会場の一角に展示ブースを設けて参加した。これ以外にもアメリカのPEACE CORP(平和部隊)と韓国のKOIKA(韓国海外協力事業団)も夫々参加する予定だったが、当日になってKOIKAのブースが見られなかったのは惜しかった。

 其処で、これ等行事について些かの所感をプログラムの日付順に沿って、先ず県連連合会(白沢会長)の第一回EXPO’08 JAPON-PARAGUAYに触れて述べるならば、パラグアイではこの種イベントは初めてゞ、参加したのも14県に過ぎず各関係者も経験不足と言う事もあって、約8ヶ月も掛けた準備期間中も大使館の適切なる指導や助言を受け乍らも試行錯誤の繰り返しであった。

 しかし、流石(さすが)は日本人で暗中模索乍らも組織力と秩序の良さを発揮し、この新規な趣きの“日パ交流展”を見事実現に漕ぎ着けたのは今後の為の経験としても貴重である。而して、初日 (19:30時)のオープングセレモニーには大統領は都合で主席は出来なかったものゝ副大臣級其の他官民要人が多数参加し、引き続きテープカットされた交流展会場も夜半まで各県ブースを皆が熱心に参観して廻り、種々興味深く質問する人達の姿が見られた。続いて17日と18日の一般公開にも大勢の来場者があり、配布されたアンケートを細かく記入するなど、パラグアイ人の日本に対する関心の深さが認められた。

 なお、寸評を加えるならば“日パ交流展”の主催団体在パラグアイ日本都道府県人会連合会は、パラグアイ政府や外部に対する活動機能を発揮出来る日系民間文化交流団体として日パ親善関係促進の一翼を担うに相応しく思えた。聞けば海外日系人社会広しと云えども、“日本都道府県人会連合会”が在るのは今の処お隣のブラジルと我がパラグアイだけだそうである。これから他国日系人団体と横の連携を取って行くにも押出しが良くなるのではないか。

 次いで、この「日本-パラグアイ交流展」を今後更に多くの県の加盟に依って毎年又は隔年毎に開催して行くか何かは別としても、其の盛り上げを永続的に進めるには白沢会長の言の如く、後継世代が育って行かなくてはならない。今回の交流展開催に及ばず乍らもアドバイザーとして翻訳作業などで協力した筆者も同感で、今では大昔のコロニア時代とは違って最高学府出身の優秀な新進気鋭の二、三世人材が輩出しており、パラグアイ人との交際に言語に何ら不自由する事は無いが、これからは加盟県の数も増えるであろう処、欲を云えば交流展参加各県が各々の展示ブースの設(しつら)え具合や出品物に関する説明資料等の通翻訳(つうほんやく)に支障が無い程になって貰うのが理想である。

 この為には、日本及び各自母県並びに併せてパラグアイ夫々の歴史や文化にも通暁した一般的教養もあり、“交流展”の名が示す様に正に日本とパラグアイ間交互の良き架け橋たる事が望まれる訳で、将来バトンタッチされる若者の皆さんには是非頑張って頂きたい。

 最後の見物(みもの)は、“人造りセンター”の劇場で催されたJICA青年協力隊派遣30周年式典であった。当日25日(木・09:00時)は、国連通常総会参加の関係で出席出来なかったルーゴ 大統領に代わり、臨時代理大統領フェデリコ・フランコ副大統領が代わりに雄弁な挨拶をしたが、与野党政権が変わっても、友好国日本政府のパラグアイ国に対する実り豊かな有益な無償有償援助及び技術協力は他の国々に比べて金額的にもダントツで、且つ善良にして勤勉な日本人移住者がパラグアイ農業に尽くした貢献を絶賛し、JICAボランティア隊員の地味乍らも尊い努力を高く評価し労(ねぎら)ったのは、同じく招かれてこの記念式典に参加した、アメリカのPEACE CORP 及び韓国のKOIKAの各ボランティア隊員には気の毒な程だった。

 なお、其れに先立って桜井JICA事務所長及び渡部大使が夫々スペイン語で挨拶された他に、JICA岩谷次長やボランティア渡辺代表隊員が当国での協力隊事業の展開状況及び地方の辺鄙な僻地に於ける隊員の苦労 話しを立派なスペイン語で披露したのは、昔筆者が移住振興会社や移住事業団にいた時代とは雲泥の差の語学力で、日本も進んだものだと感じ入った。式典司会者(TVグアラニ)を西日英各国語で補佐した宇佐美女性隊員も見事であった。

 更にJICA青年協力隊員の名誉の為にも一言添えたいのは、筆者が住友商事のアスンシオン連絡員事務所を預かっていた頃の話であるが、 当地に農薬の売り込みに出張して来る住友化学の社員の多くが元JICA青年協力隊の出身者だった事である。理由は、農薬等のプロモーションには辺鄙な奥地まで廻って農家の希望を聞き乍ら農薬の開発に草の根調査や商売をしなければならない事がある訳で、其処で住化は “どさ廻り”にも怖気ない“炎熱商人”ならぬフロンティアスピリットが旺盛な人材をJICAボランティア経験者に求め、途中入社ではあるが正社員同様に待遇したのである。

 そして、式典のアトラクションとして登場したメイドイン・イグアスの日本文化たる和太鼓に獅子舞は正に圧巻だった。久し振りでこの種イベントに招かれた家内はスッカリ気に入って大喝采であった。先ずは、パラグアイ日本人社会が営々として長年築いて来た成果の一端を内外に示した“日本祭り”として大いに力強く思った次第である。





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tag : 2008年10月15日号

2008-09-30

「ローマは一日にして成らず」




  「時事斜断」                           坂本 邦雄

 何も今に始まった安っぽい言い訳ではない。人類の長い歴史に於いて此れ迄に 幾度となく繰返されて来た事である。大きな社会改革は一年や二年で出来る相談ではなく、何十年もの時間が掛かる息の長い事業なのである。それも輪番の歴代為政者が選挙公約を忠実に守ってこそ初めて国民が肌で感じ得る善政として現れるのである。気の早い何時もの不平分子等は、船出して間もないルーゴ新政権に対して既に「政府は旧態依然として公約を果たさない!!」と方々で騒がしいデモを展開している。此処は冷静に市民の“改革を求める焦慮”と悠長な官僚に対して“辛抱”する可く公正な均衡接点を見出さなくてはならない。難しい事ではある。

 確かに新進のルーゴ政権に善い面も悪い面も種々認められるのは当然であるが、今此処で評価を下すには余りにも時期尚早である。従来パラグアイで悪い事は政府、特に与野党間での政権交代が起ると、公務員が上は大臣級から下は掃除婦までがガラリと変わって仕舞うのである。今回の様に61年間も続いた与党コロラド政権の下野では、良し悪しは別としても長年の赤党ベテラン公務員が逐一追い出され、後任の新人交代者は例えアカデミックな知識はあっても実務経験が乏しく即戦力が無く、板に付く迄にはかなりの時間がかかる嫌いがある。効率の悪い話しで、下手をすると今迄に“腹を空かせ、指をくわえていた”反作用で“今度こそはオレの番”だと汚職を“大車輪”で犯し兼ねない恐れも無きしに非ずで、此れも公務員のキャリア制度が確立していない後進国の悲哀である。詰り多くの市民の差当っての認識は、政治の浄化を唱える新政府も余り変わり栄えのしない“同じ穴の狢(むじな)”ではないかと云った処である。

 今迄に無くパラグアイでは、国運の興隆を成すには単に政府の責任のみならず、矢張り同じく国民の義務にも懸かっていると云う自覚が一般市民の間で目覚めつゝある。盛んに指摘される政府の腐敗も贈賄と収賄があってこそ生じる訳で、“タンゴは二人でないと踊れない”のである。前にも此のコラムで書いた事があるが、“如何に清廉な優秀な大統領が出ても、政治の‘材料’たる選挙民の質が粗悪だと結局は大した事は出来ない”訳で、“一国の行政は其の国民のレベルに沿った以上の成果は上がらない”と云われる所以である。こうなると国民性の問題で、その辺の改善から始めなくてはならぬ事を思うと気が遠くなりそうである。

 処で、ルーゴ新大統領が選挙公約の目玉の一つとして掲げていたブラジルとの イタイプ水力発電所運営協約上の屈辱的な不公平な条項の抜本的な改正を図り、我がパラグアイ国の正当なる利権(主権)を挽回する話しは何うなったかに付いては、ルーゴ政権は同交渉の7ヶ条からなる強腰のメモランダムを伯国政府に早々と提出した。此れに対しルイズ・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は何ら異存は無いとし乍らも、協約そのものゝ改正は、連邦議会がうるさくて早急には不可なので、取敢えずは補償金の増額等を以って応じたいと云う姿勢を示している。つまり従来の“オコボレ”を多少増額する事で“我慢しなさい”と云う訳である。なお、ルーゴ大統領は前記メモランダムの交渉の為に17日早朝イタイプのカルロス・マテオ・バルメリ総裁及びリカルド・カネセ顧問、ヘイセケ商工相、ボルダ蔵相、ハマッド外相等を帯同しサンパウロ経由でブラジリアへ向かった。然し何んたる事か、伯国政府はルーゴ大統領一行を迎えにFAB(ブラジル空軍)所属の高級ジェット機を差し回したのである。

 此れは協定見直しの交渉に強気で赴く可き筈のパラグアイ使節団は初っ端(ショッパナ) から慰撫された様なもので、さすがは名にし負う伯国イタマラティ(外務省)の外交手腕ではある。果たして、同日夜半帰国したルーゴ大統領其の他ミッションのメンバー達は“芭伯合同イタイプ対話委員会を設ける事で一致し、逐一問題の解決に鋭意邁進する。此れは我が方の画期的な成功である”、と訳の分からない曖昧な発言をするに止まった。今回のルーゴ大統領一行のブラジリア訪問は、事もあろうに一国の元首たる者が外遊に相手国の世話になるとは、特に自国の主権擁護を強く主張するルーゴである事を思えば“見損なった”と、一般には“張合い抜け”で不評判である。其処で、ルーゴの留守を預かった臨時代理大統領フェデリコ・フランコ副大統領は即日国会を訪れ、“我が大統領が交渉相手国の飛行機の世話になるなどは国として恥辱である。就いては、大統領専用機の購入予算を然る可く考慮ありたい”、と目下2009年度国家収支総予算案を審議中の国会に申し込んだ。

 なお、パラグアイは伝統的に台湾を当初より国連で支持して来た世界でも数少ない友好同盟国で共産中国とは外交関係も持たない珍しい国である。これを台湾政府は多とし数々の経済援助やドネーションを以って報いている。然し、此の度中道左派のルーゴ政権が誕生し、当然予想はされた事ではあるがパラグアイは今度は中共に盛んに秋波を送り台湾には冷たく、今回(9月22ー24日)のニューヨークに於ける国連通常総会でも台湾を独立国として支持はしない方針をルーゴ大統領は明らかにした。

 処が、国会(下院議会)は16日の会議で台湾政府の7,100万ドルの無償援助資金をオメオメと有難く頂戴す可く議決した。此れはルーゴの社会事業優先プロジェクトに充てられるドネーションで、つまり“貴君の招待で食卓には有難く同席はするが、此れで貴君にゾッコン打ち込む訳ではない”、と云うものである。此れ等の事は、ルーゴ政権発足後1ヶ月余りしか経ていない間の、様々なハプニングの中から拾った僅かな例に過ぎないが、依然として一向に収まらない治安問題等も含めてルーゴ大統領は“オトボケ”が上手なのか、朝言った事が夜になるとウヤムヤ変わったりして其の言動は一貫性に欠け、掴み所が無いと実業界等では当惑している。

 なお、最近では農民援助実施計画等の資金問題を巡ってカンディド・ベラ・ベハラノ農牧相とディオニシオ・ボルダ蔵相の間で激突が起り、初の内閣危機が生じた。又、チャコ戦争ボケロン戦勝記念日に際し、今月27日ー29日にかけて行なわれる予定だった恒例のトランスチャコ・ラリー(自動車耐久競走)は、目下旱魃で“緊急事態”を宣言された大チャコの原住民救援や環境保全等に支障を来たす理由で、カミロ・ソアレス災害救済長官(カナザワ退役大将の後任)は此れを禁止した処、ラリーを主催するパラグアイ・ツーリング・クラブや関係者の抗議の的になり大問題になった。此れも一度はラリー開催に賛成の意を表したルーゴ大統領が再び前言を翻した事に依るもので、今年は32年来開催されて来たラリー(’08版)が果たして何時行なわれるか、又は今後は恒久的に廃止されるものかは不明で、ルーゴ大統領の胸中は謎である。





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tag : 2008年9月30日号

2008-09-15

終身参議員問題についての紛糾




「時事斜断」
                                   坂本 邦雄


 現行憲法は第189条で、“民主的に選出された共和国大統領は、政治問題で裁判に訴えられ其の判決を宣告されない限り、任期終了後に国会上院の終身参議員に任じられるものとする。但し、議院の会議定足数には加えられず、且つ発言権はあるが投票権はないものとする”、と明記している。つまり、任意的に登院し発言は出来ても討議の採決には関わらない名誉職で実権が無い、悪く言えば飾り物の“花瓶”である。 なお、同憲法は第229条では、“共和国大統領及び副大統領は、選挙当選後の8月15日に就任式が行われ、其の任期は5ヶ年とし、如何なる場合も再選は出来ないものとする云々…”と定めているが、ニカノル・ヅアルテ・フルトス前大統領は此の規定を変えて再選に臨む可く 憲法改正を図ったが多数派の頑(かたくな)な反対で其の意は成就せず、“苦肉の策”として代わりに閣僚のブランカ・オベラール文部文化相を次期大統領候補に擁立し、彼自身は赤党コロラド主流派リストのトップ上院議員に立候補し、国会議長の席を狙った。

 此れは要するに腹心のブランカ・オベラール女史を大統領に立てゝ、自分は国会議長の場から次期政権を牛耳ろうとしたのであるが、中々そう簡単に問屋は卸さず、なおニカノルの強引なゴリ押も祟って結局は国政大浄化を唱える対抗馬の左派フェルナンド・ルーゴ元司教に歴史的な大敗を喫し、与党コロラドは61年間に及んだ万年政権を野党 連合の“改革の為の愛国連盟”に譲る破目に至った。

 とは云えども長期に亘って根を張った赤党の隠然たる勢力が此れで全く覆された訳ではない。新政権が発足してから僅か3週間も経たない処、ルーゴ大統領は去る9月1日に共同記者会見を急遽招集し、前日(日)の8月31日はリノ・オビエド旧将軍の邸宅で国会議長エンリケ・ゴンサレス・キンタナ参議員、ニカノル・ヅアルテ前大統領、検察庁のルベン・カンディア長官、高等選挙裁判所のフアン・マヌエル・モラレス裁判官其の他弁護士等が集まった席上へ、国会と軍部間の連絡官に当っているマクシモ・ディアス・カセレス大将がゴンサレス・キンタナ国会議長の命で召致され、リノ・オビエド旧将軍から最近の国会の運営危機に対する軍部の意見を糺されたが、ディアス・カセレス大将は問題が政治に関わる事であり自分は軍人として発言は出来ない立場にある故、上司に注進した上で後程回答したい旨を伝えて退出した経緯を明らかにし、此れは正に新政権崩しを策謀するクーデターに他ならないと非難し、国民は此の種の不穏な動きに良く注意する様に呼び掛けた。

 そもそも事の起こりは、国会上院の終身参議員に任ずるのが憲法上でも自然で あるに拘らず、ニカノル・ヅアルテ前大統領は50万の得票で赤党筆頭参議員に当選した事実を楯に政権交代後、国会正参議員としての就任宣誓を求めていた事にある。而して此れを高等選挙裁判所及び最高裁も諒(りょう)とした事もあり、散々紆余曲折の挙句に参院議員の過半数は反対で退場した後、オビエド派のエンリケ・ゴンサレス・キンタナ上院議長は、8月26日午前に議長の権限を行使し、ニカノル・ヅアルテ・フルトス前大統領の新正参議員としての就任宣誓を受けた。
 
 此の強行手段に反抗する、多数派の反対派議員達は其の日の午後、主席副議長 (青党のデニス参議員)の招集で平行臨時議会を開催し、午前行われたニカノルの就任の宣言を取り消した。此れも又違憲行為に価するもので無効決議である。結果は、去る7月1日に開会された改選新通常議会は元々最初より纏(まと)まりが悪かったものが、ルーゴ新政権発足後に於いて、上院は2週間も経たない間に真っ二つに分裂した。

 要するに此の事は、ニカノルやオビエドの策略で起きた国会危機で、新政権に揺さぶりを掛ける陰謀クーデターであると、ルーゴ大統領は記者会見で摘発したのである。そして此れでハッキリしたのは、ルイス・M・アルガニャ元副大統領の暗殺事件等に関わったことでビニャス・クエの営倉に長期禁錮中だったオビエド旧将軍釈放の便宜を図ったニカノルに対する“お返し”の政治密約であり、つまり其れが赤党のニカノル派とオビエドのUNACE党との今回の連合行動でもって明らかになったのである。

 此れ迄にルーゴ大統領はニカノル前大統領は正参議員に任じられる可きだと、 賛意を表していたもので、一方ニカノル及びオビエドも新政権のガバナンス(統治)支援に協力を約していたのだが、ルーゴの態度がどうも優柔不断で、何度もニカノルの正参議員就任宣誓が拒否されたのはルーゴの意思が裏で国会に影響している気配がある、とニカノルは不満を洩らし、場合に依ってはルーゴが曾(かっ)て左派誘拐殺害事件等に関わった機密証拠資料を公開する用意もある、と公言した事で問題が軋みだした。

 なお、ニカノルは今頃ルーゴがクーデターの可能性を恐れるのは笑止千万だと一笑し、まさかクーデター等が現在の国際情勢下で許される訳がないではないか、と指摘した。又オビエドは今回の国会危機事件は寧(むし)ろルーゴ派が企んだ国会クーデター以外の何物でもないと断言し、ルーゴ大統領は二枚舌を使う二面者(dos caras)だと非難した。而して、ルーゴはもし意気投合する共産主義思想のモラレス(ボリビア)、チャベス(ベネズエラ)、コレア(エクアドル)各大統領の助言に従えば、立法府又は司法府も必要とせず、簡単に行政命令(デクレート)だけで政治が行なえるだろうと語った。

 どっちの話しを聞いても水掛論で訳が解らなくなるが、此れが政治は魔物と云われる所以(ゆえん)。なお、最近の国会上院議会では、“ニカノルは憲法が定める終身参議員で満足し、自宅に引っ込んでいなさい”と言うルーゴの意見に沿ってか、ニカノル・ヅアルテ・フルトス前大統領の終身参議員任命が最終的に議決された。

 ルーゴ大統領は国民の血税に依り運営される国会が期待程に充分機能しないのであれば、人民投票に訴えても問題打破を図らなければならないと云うが、現行憲法には国民議会(人民投票)の制度が無く、若し国民投票で国会改造を決議したとしても拘束力に欠けるので執行不可能である。そこで、ルーゴは賢人や識者の専門家を集めて憲法改正問題の勉強会を開いた。中でも筆者も知る法曹界の権威ミゲル・アンヘル・パングラシオ博士は単に憲法の改正だけではなく現下の問題は、先ず選挙法を改正するのが焦眉の急であると進言している。
 
 なお、ルーゴ大統領は閣僚や諮問委員会を招集し、国会でここ3週間に生じた政治危機の嵐が残した傷跡の評価に当っている。とに角、罪の無い一般市民の願いは何とかパラグアイがもっと良い国に成って貰いたい事に尽きる。¡¡ルーゴさん、是非しっかり頼みまっせ!!。





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