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2008-06-30

幻滅の組閣




「時事斜断」
                                  坂本 邦雄

   次期政権の成功を左右するのに偏(ひとえ)にフェルナンド・ルーゴ元司教が組閣に当たり如何なる各閣僚の適任人材を選ぶかに懸かっている。パラグアイ国旧来の政治陋習(ろうしゅう・卑しく醜い)を改新するのは大変な事業である事は覚悟しなければならない。然ればこそ安易な人事に依る未経験な又は 無能な閣員の登用は禁物である。斯かる観点からすると去る13日早朝(金)ルーゴ次期大統領が公表した一部の内閣人事は些(いささ)か失望感を覚えるものである。

   敢えてハッキリ名前を挙げると、例えば農牧大臣に決ったカンディド・ベラ・ベハラノ国会議員(ルーゴは天主が遣わしたパラグアイの救世主だと発言し、笑い物になった)は農政もマンジョーカ1本すら植える事も知らない農業技師である。ブラス・リャノ司法労働大臣にしても余り冴えないかっての下院議員で、くだらない政治論議に明け暮れした御仁である。どう見ても司法労働相には向いておらず、6ヶ月もすれば燃焼して仕舞うのでは...。

然し最も気掛かりなのは重責を担う内務と外務両省の人事である。内相は極めて重要な保安問題、国警、麻薬取締局、移民局や鑑識局等々の抜本的綱紀粛正を以って、国内治安の 改善や腐敗の駆逐に努め、国の対外イメージアップに資す可き大役で、又は“家無し”や “土地無し”階層の“筵旗”(むしろばた)に対抗しなければならない、とても“人気役”とは云い難い大変な役回りである。一方、外相は世界に対するパラグアイ国の代表役であり、地域的にはラ米諸国中で最も老獪(ろうかい)な外交の伝統を誇る隣接両大国ブラジルとアルゼンチンを相手に堂々と渡り合う可き大任なのである。これ迄は小国の悲哀で、吾がパラグアイの為政者は常にこの両大国の云うが侭に翻弄(ほんろう)されて来たのである。

   これ等の考察からすると、次期政権の内務大臣に指名されたラファエル・フィリソラ氏 (上院議員当選)は学識や人格的徳性は備えてはいても内相の政職にはもっと老巧なマキアベリ的な人物でないと長持ちしはないだろうと云った巷の評判である。同じく外務大臣に登用されたミルダ・リバローラ女史は農学士以外に、社会・心理・歴史の学者で博識なインテリであるが外務官吏の経験はないのが欠点である。

なお大蔵(ディオニシオ・ボルダ経済学士)、商工(マルティン・ヘイセケ薬品事業家)、国防(ルイス・スパイニ退役陸軍大将)の各大臣が先ず最初に指名されていた他に、今回公共土木(エフライン・アレグレ下院議員)、厚生社会福祉(エスペランサ・マルティネス女医)の各大臣と社会開発庁長官(パブリノ・カセレス休職司祭)及びミゲル・ロペス氏が大統領府特別補佐官(予定)に夫々任命されたものである。

未だ教育文化大臣や各省の副大臣(次官)が未定であるが、以上はこれ迄に中々ルーゴ次期大統領の閣僚人選が決らないのに対し世論が五月蝿(うるさ)いので、ルーゴが少々人事を焦った結果ではないかと言われている。何れにしても皆ゼロから始まる未経験者で、これからのお手並み拝見と云った処である。ルーゴ自身も既に内閣の初期100日間の実績を見て必要な閣僚人事の更迭を行うと宣言している。

処で、フェデリコ・フランコ次期副大統領は一貫してルーゴから人事の相談が無かった事に明らかなる不快感を表明し、ルーゴを支援したAPC(改革のための愛国同盟)の多数派青党からの閣僚登用が少な過ぎると不満を洩らしている。歴代の副大統領は“花瓶”の様な飾り物に過ぎなかったと云われるが、フランコも其れと同じ苦杯をルーゴに飲まされた体である。因みに、新聞記事等で見る世論調査ではルーゴ次期大統領の人気は依然として87%と云った高率を保っている。

去る14日はチャコ戦争の停戦73周記念(12/06/35)で、ルーゴ次期大統領はニカノル・ヅアルテ・フルトス大統領と共にボリビア領ヤクイバ軍事基地(当初はビリャモンテス市で式典が行われる予定だったが民衆のデモ騒動で急遽場所を代えたもの)に 行き、揃って式典に出席したが、ボリビアのエボ・モラレス大統領は、フェルナンドは“ルーゴ”ではなく素晴らしい“ルーホ”な(豪華な)パラグアイの次期大統領である等と持ち上げた。この後、ルーゴはエクアドルとベネズエラへ足をのばした。エクアドルでは昔、布教師として長らく働いていた事もあり、修道院の尼さん達がルーゴの大統領就任式用に手織りの三色旗懸章を贈る等の大人気で、ベネズエラでもウーゴ・チャベス大統領と共に同国のカトリック大僧正が司祭するミサに連立って参列する等の大歓迎であった。

   然し、ルーゴは、「皆が誤解しない様にハッキリして置きたいのは、今回の自分のボリビア及びエクアドル並びにベネズエラの三国歴訪は必ずしも此れ等各国の左派政体又はチャベスが 唱道するボリーバル運動に迎合し歩調を合わせる為のものではないと云う事である。吾が政権は同じ左派乍ら一線を画し、独自の政治路線を断固と進む方針である」と同行の記者達に語った。

ルーゴ政権は一応チリの社会主義形態をモデルに考えている様である。フェルナンド・ルーゴ次期大統領のもう一つの人気の謂(いわ)れれは、其の選挙公約にパラグアイに不利な芭伯二国制企業イタイプ水力発電所協定の抜本的改定を、ブラジルと正面切って交渉する事を挙げた処にある。此れは何れの歴代政権も此れ迄にハッキリと打出さなかったパラグアイの国家的悲願の懸案テーマなのだが、今回ルーゴが勇気を以って大きく取り上げた事で、初めて国民は魂を目覚めさせられたのである。

   但し、事は中々思う様に行かないもので、内閣構成人事でルーゴはテクノクラート起用を優先し、絶対に政治家(国会議員)は登用しないと云う公約だった筈だが、早くも此の度の閣僚任命には参議員や衆議員の名が挙がっている。次いで、悪いのはウルティマオーラ紙のスッパ抜きでフェデリコ・フランコ次期副大統領の兄に当たるカルロス・アルベルト・フランコ法学士(フランコ一家は伝統的に皆医者だがカルロス氏は例外の弁護士)及びルーゴ次期大統領の甥のアンヘル・ポンペジョ・マイダナ氏が、夫々芭亜二国制企業ジャシレタ水力発電所の法律顧問並びに環境専門技師として各々6月1日付けで高給を以って発令されていたのが暴露した事である。

此れも次期政権は、縁者びいきの親族登用は厳に慎むと云う公約を、新政府発足前に早々と犯したもので、又もや市民(有権者)は旧態依然とした陋習を見せ付けられ、「未知の新しい釘より古釘の方が良かったのか」と失望するのである。フランコ弁護士はブツブツ云い乍らも辞令を返上した。他方、ルーゴの甥(ルーゴ大統領の姉でファーストレイディ役に決っているメルセデス・マイダナ夫人の子息)の方は絶対に辞めないと頑張ったが、ルーゴ叔父に大分叱られて辞めた。何れもマスコミが騒がなければ分からず仕舞いのスキャンダルだったであろう。ルーゴはマスメディアの横暴に不機嫌で、ブン屋が煩くて一挙手一投足も侭ならぬと大変な御立腹だが、清きを約する次期政権には思わぬ影を落とした不始末ではあった。





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tag : 2008年6月30日号 フェルナンド・ルーゴ

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