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2008-09-30

「ローマは一日にして成らず」




  「時事斜断」                           坂本 邦雄

 何も今に始まった安っぽい言い訳ではない。人類の長い歴史に於いて此れ迄に 幾度となく繰返されて来た事である。大きな社会改革は一年や二年で出来る相談ではなく、何十年もの時間が掛かる息の長い事業なのである。それも輪番の歴代為政者が選挙公約を忠実に守ってこそ初めて国民が肌で感じ得る善政として現れるのである。気の早い何時もの不平分子等は、船出して間もないルーゴ新政権に対して既に「政府は旧態依然として公約を果たさない!!」と方々で騒がしいデモを展開している。此処は冷静に市民の“改革を求める焦慮”と悠長な官僚に対して“辛抱”する可く公正な均衡接点を見出さなくてはならない。難しい事ではある。

 確かに新進のルーゴ政権に善い面も悪い面も種々認められるのは当然であるが、今此処で評価を下すには余りにも時期尚早である。従来パラグアイで悪い事は政府、特に与野党間での政権交代が起ると、公務員が上は大臣級から下は掃除婦までがガラリと変わって仕舞うのである。今回の様に61年間も続いた与党コロラド政権の下野では、良し悪しは別としても長年の赤党ベテラン公務員が逐一追い出され、後任の新人交代者は例えアカデミックな知識はあっても実務経験が乏しく即戦力が無く、板に付く迄にはかなりの時間がかかる嫌いがある。効率の悪い話しで、下手をすると今迄に“腹を空かせ、指をくわえていた”反作用で“今度こそはオレの番”だと汚職を“大車輪”で犯し兼ねない恐れも無きしに非ずで、此れも公務員のキャリア制度が確立していない後進国の悲哀である。詰り多くの市民の差当っての認識は、政治の浄化を唱える新政府も余り変わり栄えのしない“同じ穴の狢(むじな)”ではないかと云った処である。

 今迄に無くパラグアイでは、国運の興隆を成すには単に政府の責任のみならず、矢張り同じく国民の義務にも懸かっていると云う自覚が一般市民の間で目覚めつゝある。盛んに指摘される政府の腐敗も贈賄と収賄があってこそ生じる訳で、“タンゴは二人でないと踊れない”のである。前にも此のコラムで書いた事があるが、“如何に清廉な優秀な大統領が出ても、政治の‘材料’たる選挙民の質が粗悪だと結局は大した事は出来ない”訳で、“一国の行政は其の国民のレベルに沿った以上の成果は上がらない”と云われる所以である。こうなると国民性の問題で、その辺の改善から始めなくてはならぬ事を思うと気が遠くなりそうである。

 処で、ルーゴ新大統領が選挙公約の目玉の一つとして掲げていたブラジルとの イタイプ水力発電所運営協約上の屈辱的な不公平な条項の抜本的な改正を図り、我がパラグアイ国の正当なる利権(主権)を挽回する話しは何うなったかに付いては、ルーゴ政権は同交渉の7ヶ条からなる強腰のメモランダムを伯国政府に早々と提出した。此れに対しルイズ・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は何ら異存は無いとし乍らも、協約そのものゝ改正は、連邦議会がうるさくて早急には不可なので、取敢えずは補償金の増額等を以って応じたいと云う姿勢を示している。つまり従来の“オコボレ”を多少増額する事で“我慢しなさい”と云う訳である。なお、ルーゴ大統領は前記メモランダムの交渉の為に17日早朝イタイプのカルロス・マテオ・バルメリ総裁及びリカルド・カネセ顧問、ヘイセケ商工相、ボルダ蔵相、ハマッド外相等を帯同しサンパウロ経由でブラジリアへ向かった。然し何んたる事か、伯国政府はルーゴ大統領一行を迎えにFAB(ブラジル空軍)所属の高級ジェット機を差し回したのである。

 此れは協定見直しの交渉に強気で赴く可き筈のパラグアイ使節団は初っ端(ショッパナ) から慰撫された様なもので、さすがは名にし負う伯国イタマラティ(外務省)の外交手腕ではある。果たして、同日夜半帰国したルーゴ大統領其の他ミッションのメンバー達は“芭伯合同イタイプ対話委員会を設ける事で一致し、逐一問題の解決に鋭意邁進する。此れは我が方の画期的な成功である”、と訳の分からない曖昧な発言をするに止まった。今回のルーゴ大統領一行のブラジリア訪問は、事もあろうに一国の元首たる者が外遊に相手国の世話になるとは、特に自国の主権擁護を強く主張するルーゴである事を思えば“見損なった”と、一般には“張合い抜け”で不評判である。其処で、ルーゴの留守を預かった臨時代理大統領フェデリコ・フランコ副大統領は即日国会を訪れ、“我が大統領が交渉相手国の飛行機の世話になるなどは国として恥辱である。就いては、大統領専用機の購入予算を然る可く考慮ありたい”、と目下2009年度国家収支総予算案を審議中の国会に申し込んだ。

 なお、パラグアイは伝統的に台湾を当初より国連で支持して来た世界でも数少ない友好同盟国で共産中国とは外交関係も持たない珍しい国である。これを台湾政府は多とし数々の経済援助やドネーションを以って報いている。然し、此の度中道左派のルーゴ政権が誕生し、当然予想はされた事ではあるがパラグアイは今度は中共に盛んに秋波を送り台湾には冷たく、今回(9月22ー24日)のニューヨークに於ける国連通常総会でも台湾を独立国として支持はしない方針をルーゴ大統領は明らかにした。

 処が、国会(下院議会)は16日の会議で台湾政府の7,100万ドルの無償援助資金をオメオメと有難く頂戴す可く議決した。此れはルーゴの社会事業優先プロジェクトに充てられるドネーションで、つまり“貴君の招待で食卓には有難く同席はするが、此れで貴君にゾッコン打ち込む訳ではない”、と云うものである。此れ等の事は、ルーゴ政権発足後1ヶ月余りしか経ていない間の、様々なハプニングの中から拾った僅かな例に過ぎないが、依然として一向に収まらない治安問題等も含めてルーゴ大統領は“オトボケ”が上手なのか、朝言った事が夜になるとウヤムヤ変わったりして其の言動は一貫性に欠け、掴み所が無いと実業界等では当惑している。

 なお、最近では農民援助実施計画等の資金問題を巡ってカンディド・ベラ・ベハラノ農牧相とディオニシオ・ボルダ蔵相の間で激突が起り、初の内閣危機が生じた。又、チャコ戦争ボケロン戦勝記念日に際し、今月27日ー29日にかけて行なわれる予定だった恒例のトランスチャコ・ラリー(自動車耐久競走)は、目下旱魃で“緊急事態”を宣言された大チャコの原住民救援や環境保全等に支障を来たす理由で、カミロ・ソアレス災害救済長官(カナザワ退役大将の後任)は此れを禁止した処、ラリーを主催するパラグアイ・ツーリング・クラブや関係者の抗議の的になり大問題になった。此れも一度はラリー開催に賛成の意を表したルーゴ大統領が再び前言を翻した事に依るもので、今年は32年来開催されて来たラリー(’08版)が果たして何時行なわれるか、又は今後は恒久的に廃止されるものかは不明で、ルーゴ大統領の胸中は謎である。





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