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2008-04-15

休憩室ー「解放の神学」の信奉者 ルーゴ




いよいよ後、数日でパラグアイの大統領が決まる。
マスコミの世論調査ではルーゴ元司教がトップになっており、
次いで赤党のブランカ候補が2位となっている。
パラグアイ人の間でも現状維持を望む保守派は「赤党が底力を発揮して勝つよ」と
希望的観測を述べる。

一方、現状不満派は「ルーゴの勝ちだよ!」と断言する。
ブランカ女史が勝てば、これ迄と変わり映えしないダラダラ政治が
続くことだろう。だが、ルーゴが勝つと、ウ~ム…⁉ ―というのは、
南米固有の貧困や人権抑圧などから多くのイエズス会司祭が「解放の神学」
(Teología de Liberación)の熱心な推進者として60年代~70年代まで
左翼グループや運動の中に身を投じ、左翼政党の党員として活動した。

この解放の神学信奉者は時に微妙な政治の領域へ踏み込む危険があるため、
カトリック教会において物議をかもしてきた。前教皇ヨハネ・パウロ2世は
数度にわたってその行き過ぎを非難している。
この解放の神学のルーツを辿ると今やパラグアイの観光地として有名な
ラ・トリニダード遺跡に端を発する。
あのカンヌ映画祭でグランプリを獲得した英国映画「ミッション」の
モデルとなったインディオ教化村だ。

彼らイエズス会はカトリック教会の宗教改革以来「教皇の精鋭部隊」とも呼ばれた。
彼らはキリスト教徒になったインディオを他部族やヨーロッパの奴隷商人の襲撃から
守るためイグアスの滝周辺にいわゆるインディオ王国を作った。
インディオを保護しようとする彼ら司祭はスペインとポルトガルの
奴隷商人およびそこから利権を得る政府高官に目障りであったため、
のちにポルトガルとスペイン本国からの軍隊によって撃滅された。

さて、そのルーゴ元司教だが、過日ウルグアイのラジオインタビューで
解放の神学を勉強して大きな影響を受けた、と述べている。
実際、彼はペルーで解放の神学の第一人者の下で働き、また、エクアドルでも
インディオや貧しい人々の為に尽力してきた。



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theme : 南米の臍から地球を読む
genre : 海外情報

tag : 2008年4月15日号 解放の神学 休憩室 フェルナンド・ルーゴ

2008-04-15

パラグアイの発展を大きく左右する総選挙




パラグアイの発展を大きく左右する総選挙=国内外から大きな関心=各候補とも熾烈な戦い繰り広げる
 
総選挙まで残すところ僅かとなり、各陣営は全国で大規模な決起集会を開催するなど、票の掘り起こしに躍起になっている。大統領選は与党候補の思わぬ苦戦が強いられており、近年類を見ない中傷合戦が繰り広げられ、有権者が困惑するほどの中傷ポスターやビラが全国で配布されている。
大統領選はルゴ候補が頭一つリードしているものの与党のオベラル候補、UNACE党のオビエド候補とは僅差であり、どの候補が勝利してもおかしくない状況である。

逆転勝利を目指すオベラル氏

オベラル氏は14日(月)、テレビ番組を通して公の場で初めて敗北の可能性について言及し、僅か一票の差でも敗北が決定すれば潔くその事実を受け入れるが、同じような姿勢を他の候補にも求める、と伝えた。
番組の司会者から大統領選で与党が不正を行う可能性について問われたオベラル氏はこれを強く否定し、今回の選挙ほど国内外の関心を集める中で不正を実行するのは不可能である、と述べた。
また、オベラル氏は今回の選挙にカトリック教会が政教分離の姿勢を示していることを高く評価したものの、一部の司祭達が国民にルゴ氏支持を求めていることに対して不満を露わにした。

国民の期待を一身に背負うルゴ氏

13日(日)、APC(変革のための愛国同盟)はエステ市で5万人規模の集会を開催し、中にはカスティグリオーニ派の赤党党員の姿も多く見られた。
ルゴ氏は聴衆に向けて、国民が恐れることを止め、パラグアイの変革を心から望んでいるからこそ我々の勝利は確実であると演説し、政権奪取が実現した場合はパ国の舵取りは私一人ではなく皆との共同作業である、と述べて支持を訴えた。
また、ルゴ氏はエステ市が赤党カスティグリオーニ派の重要地盤であることから、赤党の偉大な指導者、とカスティグリオーニ氏を褒め称え、赤党党員の支持を求めるのも忘れなかった。

選挙日当日まで動向が注目されるオビエド氏


多数のパラグアイ人が居住しているアルゼンチンのポサダス市を訪れていたオビエド氏は14日(月)、赤党は既に役目を終えており、今後は我らがパラグアイの発展を担っていくとして、大統領選での勝利を宣言した。
オビエド氏は演説の中で左翼でも右翼でもないとし、中立交渉主義者である、と述べ、隣国のアルゼンチンとブラジルとは協調政策を目指していくことを明らかにした。

選挙管理委員会、選挙速報は20日午後11を予定

選挙管理委員会は4月20日に行われる総選挙の投票結果は開票率が92%に達し次第、TREP(暫定結果速報システム)を通じて発表することを明らかにした。
選管によれば選挙速報は特に大きな問題等が生じなければ20日の午後11時には発表できるとしており、当日は5000人の職員がTREPの運営にあたる。
各政党幹部および選挙関係者等を招いて13日(日)開票作業の事前デモンストレーションが行われた。各投票所から手渡し、電話、ファックス等を用いて送られてくる投票結果の集計作業の工程にはまだ改善の余地がある為、関係機関と協力して対応にあたっていく事をホルヘ・アコスタ局長が明らかにした。
 
青党、TREPに対し不信感

ルゴ大統領候補とペアを組むフェデリコ・フランコ副大統領候補率いる青党は選管が導入するTREPには透明性が欠け、信頼性に問題があると指摘している。

投票用紙を全国に向け発送

14日(月)、選管はパラグアイ国軍と共同で全国に向け投票用紙の発送を開始した。午前7時には陸軍の車両に積まれた投票用紙がボケロン県に発送され、その後順次にカアグアス県、カアサパ県、プレシデンテ・アジェス県と続いた。

アルゼンチンから多数の有権者が帰国

野党の発表によると20日(日)に行われるパラグアイの総選挙に一票を投じるためはるばるアルゼンチンから約6000人のパラグアイ人が帰国する予定である。
14日(月)時点で既に首都ブエノス・アイレスから自家用車、貸し切りバスなどで多くのパラグアイ人が祖国に向け出発している、と同市で長年出稼ぎ労働者として働いているファティマ・ロドリゲスさんが伝えた。
15日(火)には国境のポサダス市を目指してブエノス・アイレスから機関車で1500人が出発する。また、18日(金)にも同じく第二陣となる1500人が帰国する。機関車を利用してパラグアイ人が祖国に帰国できるよう3000席を無料で確保したことを野党コーディネータが明らかにした。
他にも約1000人程度が貸し切りバスなどで帰国を予定しており、前回行われた総選挙では多数の有権者が入国の際に入国官に足止めなどのあからさまな妨害を受け投票に間に合わなかった等の前例があるため、今回は多くの人々が早めに祖国を目指して出発している。

今回、帰国する有権者の殆どがルゴ候補に投票を予定していると見られ、与党側も2000人程度を急遽隣国から呼び寄せる事を計画しており、既に一票につき100ペソ(約14万グゥアラニー)と旅費を餌にしている模様だ。

オビエド氏とドゥアルテ大統領の密約疑惑

オビエド候補率いるUNACE党と与党の赤党が20日(日)に行われる総選挙の投票日に共同戦線を張りAPC(変革のための愛国同盟)から出馬しているルゴ氏の当選を阻止する可能性が投票日間近にして各メディアで取り沙汰されている。中には同計画は昨年、ドゥアルテ大統領がオビエド氏釈放の際に交わした密約であると指摘している人物も多数現れている。

UNACE党は赤党の一つの運動として誕生した経緯やオビエド陣営としては野党政府誕生よりも既存の赤党による政局運営の方がはるかにメリットは高い事から可能性は十分に高いと見られる。

投票日当日の正午までにオビエド陣営は当選の可能性が低いと判断した場合、オビエド氏は支持者の票を全てブランカ氏に充てるよう指示すると見られている。
オビエド氏とドゥアルテ大統領の密約疑惑は特に新しい事ではなく政界では既に昨年、オビエド氏が釈放された時点で指摘されていた。
疑惑を裏付けるかのように投票日間近にオビエド陣営と与党陣営の幹部が度々首都アスンシオン市で接触されているのが目撃されている。
元オビエド派のマックス・ナルバエス氏はUNACE党の選挙対策関係者の大多数は赤党員である、と発言しており、ルゴ陣営にオビエド氏と与党の動向には十分注視するよう助言している。

オビエド氏釈放にドゥアルテ大統領が関与

オビエド氏の釈放にドゥアルテ大統領が関与した事についてそれぞれ否定してきたものの、国会での与党とUNACE党の急速な親密関係構築が密約の可能性を示唆していた。
4月6日に行われた与党の集会でドゥアルテ大統領は公の場でオビエド氏の釈放を手助けしたことを認めており、この発言で一層密約が交わされたことの可能性が深まったとみられる。
その交わされたとされる密約の一つがルゴ氏当選阻止計画。いずれにせよ約60年間政権を握ってきた赤党がそう簡単に政権の座を譲るとは考えられない。



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tag : 2008年4月15日号 大統領選挙2008 フェルナンド・ルーゴ パラグアイ

2008-04-15

信徒を二分するルーゴ元司教の大統領立候補




時事斜断
                      坂本邦雄


いよいよ次期大統領選レースが一直線の最終コースに入り、
来る20日の決勝線を目指して各候補者は力走している。

さて、誰が一番にゴールインするかゞ大いに見物(みもの)だが、
これ迄にも随分嬲(なぶ)られ、色々と疑問視もされて来た
世論アンケートや科学的調査資料ではあるにしても、
冷静に且つ公平に政治分析すると、次期大統領に何れの候補者が
最後に決まるか或る程度判断の参考になるのである。

要するに、各候補者の人気の競合差は僅少と云える処、
浮動票が未だ凡そ11パーセント弱もあり、此れを最終段階で
正に如何に其の多くを捕え込むかに依って

各候補者の勝敗が決するであろう。目下の形勢は、
1-ルーゴ元司教、2-ブランカ女史、3-オビエド旧将軍
及び遥に落ちて、4-愛国党のファヅール党首と云う
人気順位であるが、最近は2のブランカ女史が赤党の底力を
発揮して、1のルーゴ司教を大いに追い上げていて、
20日の全国総選挙戦は主にこの両者同士の大接戦になりそうである。

処で、一見最も人気があるフェルナンド・ルーゴ元司教について
考察すると、カトリック教国 パラグアイの信徒、
即ち大部分の国民をルーゴ元司教は大きく二分しているのである。

つまり、ルーゴ元司教の政界入りは明らかに公教法に背いた
行為であり、ローマ法王庁及びパラグアイ司教協議会は 
此れ迄にも幾度も注意して来た。更にルーゴ元司教は翻意を促す
法王ベネディクト16世の懇切な訓戒も聞き入れなかった為に
停職を命じられた。此れは反逆であり、神に終生の忠誠を
一度(ひとたび)誓った聖職者の重罪である。
国法的に解釈しても、ローマ法王庁に完全退職が認められていない
聖職者は依然として 現職に存続するものと解釈され、
従ってこのような身分に於いて大統領又は副大統領に
立候補する事は違憲なのである。

なお、ルーゴ元司教が世論で不利なのは、近来台頭している
ベネズエラの強硬左派 指導者ウーゴ・チャベス大統領に迎合し、
且つコロンビア革命軍(FARC)との関係が疑われている事で、
多くのパラグアイ国民の思潮と相容れないものが隠然として
底流にあるからで、中々微妙な面がありルーゴも苦しい処である。

一方、ルーゴ元司教の支持者は、60有余年政権を牛耳って来た
赤党特権グループの悪政で、国民の33%が極貧に喘ぎ、
多数の者が外国へ出稼ぎに逃れ家族は分散し、
国土の凡そ半分は外国人の所有に帰している等、
過去に見られない重大なジレンマに此のパラグアイを
陥(おちい)らしめた、
腐敗した赤党を今度こそは野に下し、
抜本的な行政改革を以って救えるのはルーゴ元司教以外にはなく、
苟(いやしく)も憂国の士なれば当然ルーゴに
投票す可きであると力説するのである。

先日、国会でもルーゴ元司教を推す青党リベラルの
ベラ・ベハラノ参議員は、ルーゴはマフィア(暴力団)、
麻薬闇取引、密輸団、悪徳業者、多国籍企業等が君臨する
パラグアイの世直しに神が遣わした使者であると発言し、
毒舌をもって知られる赤党コロラドのカレー・ガラベルナ参議員に
猛烈に捲(ま)くし立てられた。

一方、あからさまにルーゴの立候補に反対を唱えられない
カトリック教会は、ある例外を除き大多数の司教は信徒団に対し、
来る20日の総選挙には成可く多くの有権者が国民の
義務である投票に参加し、各自の良心に従って自主的に
清き一票を投じる様に勧告するに止まっているのである。

なお、最近の珍しいイベントとしては去る3日の
夜21:00時より1時間に亘り、
パラグアイ日本・人造りセンター(芭日文化センター・CPJ)内
の劇場に於いて、アメリカのCNNテレビ及びパラグアイの
SNTチャンネル9・セロコラの共催で、目下選挙運動で
凌ぎを削っている主要次期大統領候補4者の
公開政治討論会が行われ、世界3.500万人の視聴者に向けて
生中継で放映された。

筆者は此の番組を見て感じたのは、主演者ブランカ、ルーゴ、
オビエド及びファヅール各氏の政治所信表明は夫々の持味はあるが、
大同小異此れ迄に何度も聞かされて来た処と余り代わり栄えしない
退屈なもので、何れの候補者が大統領に当選した処で、
その公約が何の程度果たせるのだろうかと勘繰る位が落ちであった。

話は別だが、一寸特記したいのはパラグアイで初めて
世界に向けて国際CNNテレビに依り放映された
此の生番組の舞台に、パラグアイの人達は
“セントロ・パラグアジョ-ハポネス・CPJ”
と親しんで呼んでいる、「パラグアイ日本人造りセンター」の
劇場が選ばれた事である。

この誠に有意義な多目的 センターは、
パラグアイ日本人移住50周年記念行事の一環として、
日本政府の16億円に及ぶ無償援助で1986年に、
当国を親しく御訪問された常陸宮殿下、華子妃殿下御臨席の
もとに定礎式が行われ、1988年に無事完成し
アスンシオン市役所に移管されたものだが、
其のギリシア風建築の優美な容姿と 完備された
装備・施設は我々在留日系人が一様に誇りとする処である。

当テレビ番組の司会者は、収容力600人の
劇場をほぼ埋めた特別招待客を前にして、討論会の舞台を
“セントロ・パラグアジョーハポネス”と
盛んに紹介したのである。
日本政府も実に良い贈物をしたものだと思うが、
「パラグアイ・日本人造りセンター」は、
CNNテレビのお陰で世界に広く知られる事になったと
云えば過言であろうか。

僅か5日後に迫る此の日曜日は、
愈々“民主主義の基本である大統領総選挙”の「D-デイ」である。

さて、国民の期待に応え得る理想の次期大統領に
何れの候補者が選ばれるかであるが、最も大きな課題は
現政治機構の改造である。

此れについて各候補者は、我こそは其の旗印であると自負し、 
お互いに譲らない。

只今の処、人気投票ではトップにあるルーゴ元司教は、
野党反対勢力10何数派のバックを得ているが其の基盤は
案外脆い欠点がある。
即ち、ルーゴ自身は左派に片足を賭け、
もう一方の足は 自由思想の青党に賭けている矛盾があり、
無理な体制である。

片や世論調査では多少劣勢なブランカ女史は、
パラグアイ有史以来初(はつ)の女性大統領に選出される事で
赤党は自浄能力を発揮し、単なる
惰性的な赤党新旧政権の交代ではなく、
抜本的な行政機構改革を成し遂げる自信を示している。

予想では結局、ルーゴ元司教とブランカ・オベラル女史の
決戦になりそうだが、未だ可成りある浮動票や
オビエド派又はファヅール派の票田が如何に動くかも
興味深い処である。

駄々を捏ねていた ルイス・カスティグリオニ前副大統領も、
最近になって漸く自派「前衛運動・Vanguardia」は
ブランカ女史に全面的に協力する事を宣言した。

因みに、当のニカノル・ヅアルテ・フルトス大統領は、
赤党主流派が擁立したブランカ・オベラル女史の
次期大統領当選を絶対に確信しており、
今回主要政党候補者の公開政治討論会の生番組の
中継放映に来パした、CNNテレビのカルロス・モンテロ司会者と
会見した席上で、“貴CNNテレビは総選挙の翌21日には
ブランカ候補が、吾が国で初めての女性大統領に選ばれた
ニュースを大きく報道する事になろうと断言した。      




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tag : 2008年4月15日号 政治 大統領選 フェルナンド・ルーゴ パラグアイ

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